2009年10月20日火曜日

固視と注視

固視と注視はよく混同して用いられている。たとえば、「固視下の眼振」が「注視眼振」と表現されているのをよくみかける。
 
両者は厳密に区別して用いられなければならない。「固視する」は英語の「fixate」のことである。一方、「注視する」は「gaze」のことである。ちなみに、Merriam-Webster’s Medical Dictionaryによれば、「fixate」と「gaze」は以下のように説明されている。
 
Fixate: to focus one’s gaze on
Gaze: to fix the eyes in a steady and intent look
 
つまり、「gaze」すなわち「注視する」とは、視線方向を示す言葉である。これに対して「fixate」すなわち「固視する」とは、見ようとしている物体の像を中心窩で的確にとらえることを意味する。「的確に」とは「静止像として」という意味である。
 
したがって「固視下の注視眼振」といった表現や「Frenzel眼鏡装着時(非固視下)の注視眼振」という表現が可能となる。
 
ちなみに、Practical Management of the Dizzy Patient 2nd Edition (Joel A. Goebel (ed), Wolter Kluwer) では、注視眼振(gaze-evoked nystagmus)を次のように定義している。
 
“Gaze-evoked nystagmus (GEN) is a type of spontaneous nystagmus (SN) that is produced when the patient’s eyes assume an eccentric position within the orbit.”

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